[Shell] ニュージーランド出張記

2002年11月30日〜12月7日まで、南半球のニュージーランドに出張し、南島のDunedin (ダニーディン)にあるOtago Universityで開催された 16th IAHR International Symposium on Iceに参加しました。その顛末をレポートします。

[Under Construction] 工事中です。

新規作成 (2002/12/8-9)


* Dunedinまで

11月30日夕刻の飛行機に乗り、機内で一泊してAuckland空港に向かう。ニュージーランドはいま夏で、夏時間のため、時差は4時間ある。

なぜかエージェントがAuckland経由の切符を手配したので、南島の Christchurchに着きながら、乗り換えて北島に向かう。つまり遠回りである。乗り換えなどを含めると14時間以上を移動に費やす。

はじめはバカバカしいと思ったが、この遠回りのおかげで、Aucklandから Dunedinに向かう飛行機に乗り合わせたDunedin在住の日本人の方と知り合えた。現地の高校に通っていた学生さんで、大学受験のためにいったん日本に帰っていたのだが、卒業式のために戻るのだという。 (プライバシーに関わるかもしれませんので、詳細は聞かないでください。)

しばらく話をすることができたので、現地ではいまが卒業シーズンであることや、えらく昼が長いこと、空気が乾燥していることなど、いろいろ教わった。とても取っつきやすい、理知的な方で、話していて楽しかった。

そのうえ、迎えに来ていたその方のホームステイ先の方が、金野を宿泊先であるSt. Margaret's Collegeまで車で送ってくださった。途中でDunedinの名所の前を通ったり、「世界一急な坂道」を案内いただいたりと非常に親切にしていただいた。こんな幸運なことは遠回りしなければなかっただろう。

そうそう、Dunedinに着いたのは夕方の8時(現地時間)。その後回り歩き、宿泊先に着いたのは10時になろうとする時間だったが、まだ空は明るかった! 日が長いとはそういうことです。

* 宿泊先: St. Margaret's College

ニュージーランドは旧イギリス統治国なのでイギリス文化圏だが、Britishで Collegeとは学寮を指すものだそうだ。St. Margaret's CollegeもOtago大学の学寮らしく、普段は学生さんが住んでいると思われる。ちょうどシンポジウム期間中は大学が休みなので、参加者に宿を解放しているのだろう。

部屋は古いがしっかりした作りで、清潔で好印象だった。学寮なのでホテルのようなサービスはなく、毎日提供されるのは朝食とバスタオルと石鹸だけ。バスルームは共用で、男女の区別もない。そのかわりに学寮らしく、ピアノルームやライブラリ、講義室などが用意されている。

すぐ近くに大学の時計塔があり、夜中の12時には12回きっちり鐘が鳴る。初日はそれで目が覚めてしまい、そのままなかなか寝つけずに閉口したが、2日目以降は朝までぐっすり眠られた。うーむ、人間ががさつだと得なこともありますねぇ。

(写真を掲載する予定です。)


* シンポジウム

16th IAHR International Symposium on Ice

サブタイトルにIce in the Environmentと銘打たれたシンポジウムで、海や川の結氷、雪、北極、南極など極域の氷など自然環境中にある固体の水を対象としていた。金野は氷海域での油流出事故の研究をしており、その研究発表を行うのが今回の出張の主目的である。

IAHRのIce Symp.はどちらかというとriver iceの勢力が強いようで、いちばん大きなホールはたいていriver iceのセッションをやっていた。金野のように油流出をやっている研究者はもちろんマイノリティーで、小さな部屋をあてがわれたが、まぁ議論をするという意味ではその方がよかったろう。

しかしそれにしても、世界の最先端は遠い。油流出の研究については、他にやっている人が少ないという意味で強みもあるが、メジャーな分野では日本の研究はあまり相手にされていないという印象を得た。英語の発表が下手なせいもあるとは思うが。

まだまだ食い込む余地はあると感じているが、少なくとも現時点では、日本の研究はまったく遅れているし、注目されていないというのが現実のようだ。これではいかん。

* 日本人の英語

今回参加したわれわれの中で、英語がバリバリいける人はごく数名。金野ですらできるほうに入る有り様だった。英語ができないものだから意見交換や議論は起こり得ず、なかなか盛り上がらなかった。シンポジウム自体はアットホームな雰囲気で、研究者どうしがホールや会場で談笑する姿が見られただけに、非常に残念だ。

中国から来ていたある研究者の方から、「あなた(金野)の英語は分かるが、他の日本人の英語はさっぱり分からない」と言われた。金野の英語は中国的なのか? まぁ冗談はさておき(どうせお世辞です)、金野が英語を話すときに気をつけていることを書くのでご参考まで。

文章で話す。

SVOとかSVCなど、中学〜高校で学んだ英語の文法知識に基づいて主語と述語をつけて話すようにする。なるべくフレーズだけで終わらない。

これはひとつには、外国人に理解してもらうためには英語の文章構造で話すのが理に適っているからだ。彼らが慣れている表現で話せば、理解してもらいやすいはずだ。

もうひとつには、こういう会話を心掛けていると、主語の単数複数による動詞の変化、時制、定冠詞と不定冠詞の使い分けなどに敏感になるので、英文法が自然と鍛えられると思うからだ。金野もしょっちゅう間違えるので偉そうなことは言えないのだが、それでもだいぶん使い分けられるようになったと思う。

リズムをつけて、ゆっくり、適当に間をおきつつもペースを乱さずに話す。

日本人の英語が分かりづらいのは、考えては早口で喋り、また詰まっては早口で喋る人が多いからだと思う。「………、ペラペラペラ、………、ペラペラペラ…」といった具合。焦って話しているという感じなのだ。ただでさえ発音が悪いのに、早口で喋っては聞き取りづらいに決まっている。

金野は英語を話すときは、「英語のリズムで」話すように心掛けている。英語っぽく、とでも言えばいいだろうか。発音よりもアクセントの強弱を大切にしている。

たとえば女性を口説くとき、 You are extremely beautiful.と話しかけるとすると、通常の会話であれば、当然ながら後半が強くなる。 えくすとりーむりー びゅぅぅぅてぃふぉー という感じ。

状況が変わってもしたとえば「えっ、だれが美しいって言ったの?」と聞き返されて、あなたこそが美しいのだと伝えたいのならば、同じ文章を話す場合であっても、 ゆう、(間をおく)あーえくすとりーむりーびゅーてぃふぉー(後半は早口) という感じになるだろう。重要な、相手に伝えたい部分を、アクセント重視でリズミカルに話す。あとはまぁ適当に。

なるべく簡単な表現で

難しい表現は使わず、なるべく中学高校で学ぶ程度の基本単語・熟語で話す。思いついた文章を口に出す前に、もっと簡単に言えないかどうか呻吟する。

これは難しいと思う。日本語でやれと言われても難しい。しかし意識して心掛けたい。

たぶんこの3つさえ気をつけて話せば、あとは何とかなると思うのだが…。心掛けとしては、必死で話すのではなくなるべく余裕を持ち、話す言葉だけでなく表現方法やアクセント、ペースにも気を回しながら話そうということだ。

* 外国人の英語

英語圏の人々の英語は、さすがに比較的聞き取りやすいのですが、込み入った話になると、金野が専門用語をまだ覚えていないせいもあって、ついていけなくなる。特にディスカッションに入ると辛い。何せ彼らは短い時間で自分の意見を言うために、早口で要点だけを話すものだから聞き取れないのだ。日本人相手に話すときには、ゆっくりと喋ってくれるので何とかなるのだが。

ロシア人の英語は、いかにもロシア人らしい特徴があり、声だけ聞いていてもロシア人と分かる。中国の方の英語も特徴がある。日本人は上で述べた通り。

* Field Trip


* Dunedinという街

感想はいろいろあるが、要約して言うと、とにかくすごーくいいところだった。いっぺんで好きになった。ぜひとも一度は行かれたし。

行った時期がちょうど夏の観光シーズンということもあって、天候はいつもよく、また緑がとてもきれいで、山も森もとてもきれいだった。ちょうど北海道のような印象。ニュージーランド自体は小さな国だが、人口が少ないためにとても広い家に住めるし、家賃や物価も安い。治安も比較的いいようだ。

将来お金持ちになることがあったら─きっとないだろうが─ぜひニュージーランドに別荘を持ちたいものだ。そして冬の間はニュージーランドに避寒する。日本に帰って早々、雪にあったこともあり、その思いを強くしている。

* 現地の方の英語

現地の方の英語は、聞き取れるときと聞き取れないときとがかなりはっきり分かれて困った。ニュージーランドは肌が黒い方も多いのだが、黒人系の英語はどうも聞き取れず、何度も聞き返す羽目になった。ミクロネシアなど近隣の島国から移住して来た方たちなのだと思う。(もちろん、彼らの英語が悪いわけではありません。こっちのヒアリング能力が低いのです。)

白人は主にスコットランドからの移民を祖先に持つ人々で、彼らの英語は分かりやすく、ゆっくり話してくれさえすれば十分に聞き取れる。todayはトゥダイだしtableはターブルなので、アメリカへの留学経験がある日本人方はかなり戸惑っていらしたが、あまり英語の発音がよくない金野などは逆に困らなかった。

帰りのオークランドで宿を手配していなかったので、現地で宿を頼んだのだが、エージェントの可愛らしい黒人女性が「らぶりぃ」(lovely)を連発するので微笑ましかった。どうもgoodとかniceとかの意味で使っているようで、たとえばホテルにまだ空きがあると「らぶりぃ」、予約がとれると「らぶりぃ」、クレジットカードはあるかと言われて、あると言って見せるとまたまた「らぶりぃ」といった調子。うーむ、あれはきっとニュージーランド・スタンダードではないんだろうな、たぶん。


* 帰国


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工学院大学機械工学科流体研

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金野 祥久  konno@researchers.jp

Last modified: Tue Dec 10 11:03:02 JST 2002