私の昔の研究テーマ「キャビテーションによる壊食現象」(エロージョン)について説明しています。一般的な話ばかりで詳しい研究内容を書いていません。
現在の私は、キャビテーションの研究から離れております。 (2002年6月現在)
「研究テーマ」のページから独立 (2004-09-09)
上にも書きましたように、このページは素人の方向きに書かれています。流体力学やキャビテーションの専門家には物足りないでしょう。専門家の方向きのページも用意したいのですが、まずは手始めに私の関係した論文のリストと、博士論文(Acrobat PDF)を公開しています。以下のリンク先をご覧下さい。
高速で流れる液体(水など)の中の圧力の低い部分が気化して、非常に短い時間に蒸気のポケットが生まれ、また非常に短時間でつぶれて消滅する現象のことをキャビテーションと言います。日本語では「空洞現象」という訳語がありますがあまり使われません。
なおこのポケットをキャビティと呼びます。日本語に訳すと「空洞」ですがこれもあまり使われません。上の説明では"ポケット"と書きましたが、キャビティは蒸気の大きな層になることもありますし、蒸気の泡がたくさん集まって雲のように見えることもあります。
2次元翼模型に発生するキャビテーションの様子
動画に写っている翼型はNACA0015翼型です。実験条件は迎角8°、流速 8m/sec.、キャビテーション数1.5です。
キャビティは液相の中にある非常に不安定な気相です。そのため潰れるときには非常に短い時間(数マイクロ秒から数10マイクロ秒)の間に急激に崩壊します。そしてこのとき、数100MPaから場合によってはGPaのオーダーの衝撃力を発生します。
ですから流体機器の壁面の近くでキャビティが崩壊すると、その衝撃力で壁面に小さなへこみができたり、小さなひびが入ったりします。はじめの頃は僅かなへこみが見られるだけですが、だんだん表面がぼろぼろになっていって、しまいには穴が開いたり端が欠けたりします。この現象を壊食 またはエロージョンと呼びます。
ちなみにこの衝撃力(衝撃波)は騒音の主要な原因でもあります。
流体を高速に流す必要のある機器、たとえば高速ポンプ、ウォータージェットなどはこの壊食に悩まされます。また逆にこの特性を生かして、機器の切断や洗浄に役立てている企業もあります。
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金野 祥久 konno@researchers.jpCopyright © 1996-2013 Akihisa Konno. All rights reserved.
Last modified: Thu Sep 9 18:19:28 JST 2004