Final Update Nov. 24, 1997

日本人の英語

日本人はどうしてこんなに英語がしゃべれないのか、それに答えます。

 

日本人の英語下手

 日本人は中学高校あわせて6年間英語を勉強しているのに、 英語で道を聞かれても答えられない人が多い。 大学の教養を含めると8年間ということになる。外国に出たとき、 大学卒というインテリの資格を持っていながら英語もろくにしゃべれないと、 かなり知的レベルの低い人だと判断されるであろう。
「日本人は英語の『読み書き』はできるが『会話』は下手である。」 というのはうそである。読み書きもできない。 知らない単語を辞書で調べて日本語に翻訳する。 それから日本語で内容を理解するのである。 したがって英語を読んでいることにならない。 このことは、単に読む速度が遅くなるというだけでなく、 根本的に言語構造の違いがあることを無視しているので、 内容の正しい理解に大きな障害がある。書くことについても同様である。 会話の場合にはいっそう致命的で、英語で考えてしゃべり、 英語を英語のままで理解するようにしないと、会話のペースからは まったく取り残されてしまう。
日本の中学・高校における英語教育では、 あまり正しくない発音で教科書を読む(?)ことをトレーニングされ、 さらにそれを英語で理解しないでまず翻訳するように教えられてきた。 長期間これをたたき込まれてきているので(まじめな人ほど)これを治すことが、 さしあたっての最重要課題である。 聞いたり読んだりしたことを英語のままで理解できるようになること。 これには、毎日のトレーニングで、早い人で3ヶ月、遅い人で半年くらいかかる。 英語に関して言えば、このような教育を受けた人たちは間違った方向に完全 に洗脳されてしまった、と言っても過言ではない。 だから途切れ途切れの訓練では永遠になおらない。 1年間ぐらいかけて完治することを決意する必要があろう。 FENのニュースは速くて理解できないなどということはありえない。 久米宏の読むニュースが速すぎて理解できない人がいるだろうか?  英文和訳をやっていたのでは、 どんなにゆっくりしゃべってもらっても間に合わないのは当然である。
 英語の勉強は、読むことと聞くことから始めよう。書いたり話したりすることも、それなりにトレーニングする必要があるが、目と耳から情報を収集する能力が身に付けば、日本人の英語のかなりの問題点が解決できたことになる。

読むことのトレーニング法

 読むことのトレーニングには、英語の新聞を購読することがもっとも近道である。暇を見つけて興味のある記事を読んでいるうちに、知らず知らずのうちに英語の順番で理解する癖がついていることだろう。読み方については別項「英字新聞を読もう」に詳しく書いています。

聞くことのトレーニング法

 聞くことのトレーニング法としては、教材はくさるほど世の中にあふれている。 私が実践していいと思ったのはアルクの「ヒアリング・マラソン」である。 1年間で1000時間聞くことにより、 パーフェクトな英語力を身につけることができる、というふれこみであり、 まんざらの誇張ではなさそうである。ただ、1年間で1000時間聞ける、 という幸せな身分の人は少なく、一日30分がせいぜいだ、 という人も多いだろう。その場合は、やはり2〜3年程度かかるものと 考える必要がある。別に述べるトレーニング方法に基づいて勉強されることを お勧めする。

あなたもがんばってやってみてください

 語学力は1週間や1ヶ月で身につけることはできない。 頭にしみこませなければならないのだから、それなりに継続的な努力が必要で、 途中で投げ出してはもとの黙阿弥である。 やるならある程度の覚悟を決めて最低1年間、 適切な教材にしがみついて勉強する必要があろう。
水野宛のメールはmizuno@fluid.mech.kogakuin.ac.jpまで

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